その白い世界に、強く惹き寄せられる~「107号室通信/光と窓」 カシワイ、という作家さん、あなたはご存知だろうか。2冊のコミックは白を基調としたデザインだが、そのマンガの紙面も割と白い。しかし、そこには驚くほどの深みも感じさせる。 また題材も魅力的だ。新美南吉の童話を描くかと思えば、宮沢賢治の詩集の序文(これがまた素敵な詩なのだが)をマンガとして鮮やかに描いて見せたりする。日常を舞台としたファンタジーをさらりと描いても見せたりする。注目の作家だと思う。 今回はちょっとこの作家を紹介してみたいと思う。 View this post on Instagram A post shared by Syunsuke Yamasaki (@yam_syun) このラインより上のエリアが無料で表示されます。 最近、コミックの紹介をするとき、助かるのはお試しで読んでもらうことが可能なことだ。本作も下記のリンクにお試し読みのページがあるので、読んでみていただければと思う。この独特な作風は、どうにも魅力的であることを分かっていただけるはずだ。 精緻な書き込みがあるわけではない。キャラクターが何十種類も書き分けられているわけではない。現代的で深刻な社会テーマを扱うというわけでもない。しかしその絵柄とストーリーに心が吸い寄せられる。 SFとファンタジーの中間くらいに位置する「107号室通信」。そして童話などをコミカライズする大胆な試みに驚かされる「光と窓」。どちらも不思議な手応えがある。 こういう漫画家さんは時折現れて、私たちを楽しませてくれる。しかし寡作であることが多い。また消えていく作家さんも少なくない。わが家の書架には、注目していたが続刊は重ねられずに消えていった作家の作品がいくつかある。 できれば、こういう作家のことはもっと知ってほしいというのは、こうしたコミックレビューを書く原動力でもある。かつて大学のサークルで、自分が先駆けて見つけたニューホープの作家のコミックを持って、友人に薦めまくったように。 最近は薦めるのもちょっと楽になった。試し読みのサイトがいくつかあるからだ。 トーチWEB 「光と窓」の中から3編 http://to-ti.in/product/kashiwai マトグロッソ 「幻想旅行記」連載中 http://matogrosso.jp/gensou/01.html これらのサイトのPVが、作者にもほんの少しでいいので還元されているといいなと思う。 さて、実は9月19日に最新刊が発売されているようだ。他の方が書かれたエッセイに挿絵を提供したものだと思っていて、うっかりしていたらオリジナルの作品のようだ。 「ひとりの夜にあなたと話したい10のこと」https://□ama□/2GL9gHL ここまでレビューをしたおかげで、新しい作品を見逃さずにすんだのは幸いだった。 皆さんにも、ぜひ。 オススメです。 試し読み (上述)Amazon紙書籍購入 https://□ama□/30TBpTQKindle版電子書籍購入 https://□ama□/2FhzlNMヤマサキさんのコミック蔵書リスト https://booklog.jp/users/yamsyun 関連 投稿ナビゲーション 短編はぶつっと終わるから切なさが際立つのだ~「一生好きってゆったじゃん」書店員の推しが新しいマンガと出会うきっかけになる~「果ての星通信」 1件のコメント […] (カシワイさんのコミックについては → 「その白い世界に、強く惹き寄せられる~「107号室通信/光と窓」」) […]