散歩マンガにはいくつもあるが、それぞれ作者のこだわりが投影されるのがおもしろい。ファンタジーやSF色を少し出してみるのもおもしろいし、純粋に路上観察として描くのもいい。鉄分(鉄道ネタ)を加えるもよし、地図や地形をネタにするのもよし。登場人物の人間模様をうまくからめればなおおもしろくなる。
今回紹介する「散歩する女の子」は散歩マンガ業界(そんなものがあるかはさておき)に新風を吹かせる一冊だ。今までとは違う軽さと視点で散歩を楽しむ。
看板の文字をスマホで撮影して俳句を作る遊びとか、その場にいない友人としりとりをして遊ぶ話などは、今どきの散歩ネタだ。そして40歳過ぎたまちあるきおじさんたちはやらないだろうから、散歩マンガのジェネレーションギャップともいえる。
かと思えば「剥がされた跡」を鑑賞する話や、計量器」の蓋の書体のバリエーションを追いかけるなんかは、路上観察学会的でもある。「器」の書体の話なんか、マンホールマニアは食いつきそうだ。
SF色を出したエピソードも「散歩マンガ」として書いているのでおもしろい。無機物に擬態する昆虫(のエイリアン?)とか、「自分が選ばなかった分かれ道を進んだあとの”if”の自分の話」とか散歩SFだ。これは案外なかったパターンかもしれない。
絵柄もちょうどいい。散歩マンガはリアルな画風よりゆるめがいいといつも思っているけれど、表紙画像でおわかりのとおりのゆるさだ。
あと、この判型! スクエアな投稿が増えているInstagram等のトレンドに合わせて、あえて変形版の書籍を作っちゃう編集部の気概も強く評価したいところです。
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