ファンタジーで商売物語~「赤髪の女商人」  – 8th FEB.

ファンタジーで商売物語~「赤髪の女商人」 

「狼と香辛料」というライトノベルがあって、これが好きだった。人狼(正確には狼が人の姿を取る。本人は賢狼と自称していた)が商人とともに旅をする話だ。
少女の姿をとった狼の姿もかわいかったが、主人公の男性が商人としてビジネスをするエピソードのほうがむしろおもしろかった。

今回のマンガもファンタジーを舞台としつつ商売をネタとしたマンガである。ちょっと紹介してみたい。

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主人公は女商人。やり手だったがそれがあだとなって贋金をつかまされて財産を失ってしまう。おまけに贋金流布の疑いもかけられ、巨額の罰金刑を科せられてしまう。

なんとか逃げたところが困窮にあえぐ修道院の領地。この敷地内なら治外法権ということでしばらくは命がつなげることになる。

シスターはみな清貧……どころか極貧に暮らしていて、抱えた借金もあってこのままでは敷地を取り上げられる心配さえ出ているという。なのに、なぜか領地は肥沃で小作人はみななぜか豊か。

商人の血がうずいて修道院の「経済的」建て直しをするところからストーリーは動き出す。

といっても、商売の話はそれほど高度ではないので、シンプルなビジネスルールを学ぶような作りだ(バイキングのような北方族がやってくるが、交易を持ちかけて一時限りの掠奪をさせないようにする、とか)。

1巻は第1ステップとして本人の借金返済を完了させるまで。おそらく2巻は修道院の借金返済になるだろうか。また、「移動できない」という制限も解除されたので、商人マンガとしての楽しさも膨らみそうだ。

「狼と香辛料」でも確か2巻だったか、ライバル商人と人狼との恋のさや当てが、先物取引を背景にしたギリギリの丁々発止となって、破産直前まで行きながら逆転するところなど、かなりおもしろかった。ビジネスをマンガやライトノベルに持ち込むのはアリだと思う。

ビジネスをマンガにするなら「島耕作」にしないほうがむしろいい。これなら小学校の高学年から中学校あたりの子どもが読むこともできるし、楽しんでもらえそうだ。

交易をテーマにしたボードゲーム、テレビゲームなんかもあるので、うまく遊ばせてみたいし、本作もそうしたアレンジができそうだなあ、なんて妄想してみたところで、今作の紹介を終わらせることにしたい。

オススメです。

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