平凡な日常、後悔する過去、しかし未来はある~「明日、世界が滅びるかもなので、本日は帰りません。」 – 8th FEB.

平凡な日常、後悔する過去、しかし未来はある~「明日、世界が滅びるかもなので、本日は帰りません。」

日常が無感動の繰り返しになることがある。過去に失敗を犯し、後悔はときどき自分を追い込む。

しかし、未来はどこかにつながっていて、ひょんなところから別の始まりがみつかることもある。

今回のマンガ、柔らかいイラストの雰囲気でありながら、醒めた感覚や不毛と感じつつ応じてしまうセックス、虚無を描きつつ最後にはなんとかハッピーエンドを拾う物語を描くのがちょっとリアルだったのでご紹介。

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主人公の女の子は、過去の失恋を引きずりつつ、派遣社員として日々の仕事を無難にこなしている。給与は多くはないし仕事はおもしろくないが、働かなければ生きてもいけないから無感動なままに仕事を続けている。

友人との食事会に出かけるものの、あまりおもしろくない時間にかかるお金の重みを感じつつ、表向きはつきあいの笑顔を見せる。

財布には厳しいと思いつつもネイルを新しくし、少しだけテンションを上げる。

彼氏はいない。昔別れた男は今やちょっとした有名人になって遠ざかってしまった。別れのことを思うと今でも胸が痛む。

その空虚さを埋めるようにセフレと何度か体を重ねる。これはもしかして恋になるかもしれないと勇気を出して告白をしてみても、まさかの数日差で別の女の子と付き合い始めたと言われてしまう。そして、彼も実はまんざらではなかったのだということを知る。

何をやってもうまくいかない。20歳代ってそういう時期がある。だからといって自死を選ぶわけでもなく日々を過ごしていく。

そういう日々を描くのが、リアルな絵柄ではなく、ともすればファンシーイラストに近づきそうなタッチの線であるのがまた切ない。まさかこの絵柄で、セフレはいなくなったベッドで迎える朝の寂しさが描かれるなんて。

それでも救いはやってくる。ふとした出会いからまた新しい恋が始まるのだ。

最後に、ちゃんと救いがあることにホッとした。読み進めながら、この寂寥とした感覚のまま終わってしまうのもいいけれど、それはこの絵柄であまりにも悲しいなと思っていたからだ。

でも、空疎な日々を描くだけの終わり方も悪いわけではない。作者はどこまでハッピーエンドを想定していたのか分からないけれど、どちらの終わり方もあり得る流れだった。

ここで最後に救いのあることを教えてしまったことで、新たな読者にとってはオチを知ってしまったことになるけれど、ビターな終わりにならないと思って読んでもらえるほうが途中は辛くならずにすむかもしれない。

イラストレーターとして活躍することもできるだろうけれど、できればこんな大人向けマンガをいくつか定期的に書いて欲しいなと思う。

表紙のイラスト、試し読みを見て気に入った方にはぜひそのまま最後まで1巻完結のお話を読み込んでいただければと思う。

オススメです。

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