このセカイを崩壊させないためにぼくはキスを何度も繰り返す~「スーパーノヴァはキスの前に」 – 8th FEB.

このセカイを崩壊させないためにぼくはキスを何度も繰り返す~「スーパーノヴァはキスの前に」

何度も時間を繰り返すタイムループものは青春と相性がいい。青春こそ、無限の選択肢からひとつつかみとる毎日であり、違う選択肢をつかんでいたらどうなっていたかと後悔を繰り返す毎日だからだ。

セカイを崩壊させないために、彼女とキスを繰り返す。何度時間を巻き戻しても。そんなジュブナイルSFマンガをご紹介。

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高校生のトキくんは、学校のアイドルであるふみと付き合い始めるのだが、実は彼女、セカイの終わりを決定づける力を持っていた。

トキは時間をさかのぼり、その終わりを食い止めるため彼女とつきあうのだが、彼女が満足をすると、一日が延び、未来は延長されるようで、試行錯誤を繰り返す。

彼は何度も時間を遡りながら「攻略」を繰り返す。そう、彼は未来人なのだ。彼は何度も時間を遡りながら間接キス、偶然のタイミングでのキスなどを何度も試す。そしてやってくる夏休み……。


青春は試行錯誤の繰り返しと後悔の積み重ねでもある。そしてだからこそ、青春は懐かしい思い出として心の中に残る。

たぶん、失敗のほうが多いし、「あのときはこっちの選択肢を選んでおけば良かった」という後悔もたくさんある。選択肢を変えれば、人生はいくらでもいい方に(可能性としては)変化するので、ますます考える。

そして、30歳を過ぎたころの選択肢の変更に比べれば、中高生の頃の選択肢のやり直しのほうがその変化の幅も大きい。投資でも、結果のブレ幅は時間軸を長期化するほどに拡大する。言い換えれば人生初期の選択肢を何度か連続して違えた影響は、その後の人生にとてもネガティブに作用する。

ゆえに、私たちは青春の失敗をいつまでも考えてしまう。あのとき、やっぱりこうしていればと。

でも、彼のように無限に試行錯誤するのは大変だ。「涼宮ハルヒの憂鬱」では「エンドレス・エイト」というループものがあって、ハルヒが満足しないため、えんえんと夏休みを繰り返す話がある。

時空を超えて観察ができる長門はなんと15500回は夏休みを観察してしまうのだが(それ以外のキャラは繰り返している夏休みを認識できない)、ここまでくると諸行無常の響きがある。

……脱線しているが、本作のねらいは見えてきたと思う(できればあまり細かい解説はせずに、マンガの妙味を説明してみたわけだが!)。

絵柄もいい。美麗な線を描くばかりがマンガではない。青春ジュブナイルにちょうどいい絵柄だと思う。

そして、コミックの装丁もいい。印象に残る蛍光色をSFイメージの強いロゴに配し、彼女の不思議さを引き立てている。

コミックは1巻も後半に行くほどに、主人公のタイムループの設定が見え始める。そして徐々に彼女と主人公の仲が進展してきたところに、別の未来人が登場してきたり、話が盛り上がってきて次巻に続く。

LINEマンガ(初出の掲載媒体)では完結しているのかどうかがちょっと分からないのだけれど、できれば3巻以上に話が延びてくれればいいなと思う(全般にコミックアプリは話をふくらませて成長させるのに不得手な印象があるので)。

とりあえず、LINEマンガのアプリで数話読んでみてはいかがだろうか。私は2巻該当部分を読むのをガマンしてコミックを待つつもりだ。

甘酸っぱいマンガ好きには大変にオススメです。


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