フリーランスは孤独だからふれあいが欲しくなる?~「三護さんのガレージセール」 – 8th FEB.

フリーランスは孤独だからふれあいが欲しくなる?~「三護さんのガレージセール」

会社から独立して仕事をしてみると、ひとつ分かることがある。「話し相手を作らないと、誰とも話さず一日が終わる」ということだ。

そんな主人公の彼女が考えたのは「ガレージセールの店主兼フリーランス」という方法だった? 今日はそんなマンガをひとつご紹介。

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フリーランスは自由だが孤独である。何せひとり会社で社員も同僚もいないだから、打ち合わせや納品時以外誰とも接点がなくなってしまう。下手をすると仕事のやり取りの多くもメールですんで会話ゼロということになる。そうなるとコンビニやコーヒーショップで店員とちょっと会話するくらいしかチャンスがない。

私も個人オフィスなので、ほとんど人と会わない。それでも取材を受けることがあるのと、家族があるので会話ゼロの一日ということはまずない。しかし独立当初はほとんど会話ゼロだったなあと思い出すことがある。

当時は仕事も少なかったので、週3で千駄ヶ谷のプールに通っていて、往復に90分、プールでとにかく60分時間を費やしていた。でもそれもほとんど無言。

独り言もあまりいわないタイプなので、本当に何も話さなかった記憶がある。あまりメンタル的にはいいものではなかったかもしれない。

――私の話はほどほどにしておこう。このマンガの主人公、三護さん、会社を辞めて独立したのだが、思いつきでガレージのある部屋を借り、ガレージセールをしながら仕事をすることにした。

その理由が人と話す機会がないのでたまに来るお客さんと会話ができれば、というのがおもしろい。しかもそのためにあえてガレージあり物件を探してしまったというのだから、かなり計画的だ。

最初は気まぐれに不要品を処分できれば、くらいの気持ちだったものが、置いた品がご縁でいろんな人とのつながりが出始める。そんな姿を描く連作短編になる。

話自体は淡々としているのだけれど、なんともいえず味がある話がおもしろい。連作短編の醍醐味としては前作で出た人物や設定が、次作に引き継がれたり、数話前のキャラクターが再登場することだが、そうした点でもガレージセールを軸に話が広がっていく。

小学生、高校生、専業主婦、町内会の人たち、おせっかいの友人などいろんな人物と「つながる」連鎖が生じる。だからといって深く入り込みすぎるわけでもない。あっさりとしたところが心地よい。

下記のおためしで、1話読めるので、おもしろいと思えば気に入っていただけると思う。

実はこの作品、2年前に出たものが蔵前のセカンドオフィス(事実上、書庫だが)に置かれっぱなしだった。先日蔵前で原稿を書いていたとき手に取ったらするすると読めてしまった。

この2年は何だったのだろうと思ったりもするが、それもまた「読むタイミング」だったのだろう。ということで、また別の人に「つながる」つもりでオススメをしてみたいと思う。

ところで、作者の黒谷知也氏は「書店員 波山個間子」という作品があったり、KindleUnlimitedにオリジナルの短編を発信していたりする。今チェックしてみたところ、過去作品はほとんどすべてがKindleUnlimited契約者には無料で読める設定になっているようだ。

もちろん月会費はかかっているわけだから、読んで元を取るつもりになればいいし、読めば読むほど作者にはちょっとした印税が支払われるので、気持ちよく読んでいてはどうだろうか。

オススメです。

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