フタを閉じたままの家電はもはや魔法である~「宇宙人ムームー」 – 8th FEB.

フタを閉じたままの家電はもはや魔法である~「宇宙人ムームー」

「十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない」とは、アーサー・C・クラークの名言だが、今回紹介するマンガはまさに現代の最先端科学「家電」が「魔法の箱」であることをうまくネタにしたマンガだ。

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外宇宙からやってきて、猫の姿に擬態している宇宙人。今は大学生の女の子と共に暮らしながら地球のテクノロジーを学ぼうとしている。本当は猫の世界のほうが文明は進化していたのだが、進化しすぎて誰もそのテクノロジーの詳細が分からないまま、大戦でその技術を再現できなくなってしまったのだ。

地球のテクノロジーがその再習得にはちょうどよかろう、ということでやってきた猫氏、電子レンジを分解し(でも理解もままらないままぶっ壊す)、冷蔵庫を分解し(でも理解もままらないままぶっ壊す)、掃除機を分解するのだ(でも理解もままらないままぶっ壊す)。

コミック版では解説記事が間にはさまれるが、いかに私たちの日常は科学によって便利を確保しているかが分かる。自動ドアがどんな仕組みで開いているかなんて考えたことないもんね。一本のベルトで2つの左右のドアが開いているのが実は超簡単な仕組みだったり、最近増えている「ここをふれてください」は実は「触れなくてもいい」センサーであることも多いなんて衝撃の事実が明らかになったりする。そしてそれがマンガの中の展開にもうまく使われる。

主人公の女の子は基本的に普通の大学生なので、科学技術に精通しているわけではない。電子レンジの仕組みもネットで検索して猫氏に説明していたりする。そこで間に入るのは、大学のサークルの連中だ。家電を修理したり改造しては日銭を得ているサークルが登場し(現金授受はまずいらしく、大学食堂の食券をもらう形で稼ぐ)、話を楽しく盛り上げてくれる。

大学のサークル棟のおかしなやつらが登場したりするのは、「ああっ女神さまっ」の最初の頃を彷彿とさせる。ミスコンで優勝した美人学生が登場したかと思えば、家電マニアというか一番変な男性キャラとのほのかな恋愛シチュエーションになったりするのも、大学舞台のマンガとしては最高だ。そこはためらわず、話を展開していただきたい。

1巻の展開では、もう一匹の猫擬態宇宙人が登場(主人公がひそかに好きな男子大学生の飼い猫)してみたり、人間を拉致してでも技術習得をたくらむ急進派の一族が現れくだんの部長がさらわれそうになったり、次への布石も十分。次巻も楽しみだ。

家電の数だけ話がある、とすればいつかはネタも尽きるだろう。発電所なんかは生活には欠かせなくても日常生活に登場する家電とはちょっと離れてしまう。しかし、できる限り派手に、おもしろい馬鹿話を展開してほしいと思う。

オススメである。

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