博物館のワクワクは子どもの知的好奇心の原点だ~「へんなものみっけ!」 子どもの頃、育った地元の町。そこにあった博物館のことをあなたは覚えているだろうか。そこに行ったとき、展示物をみてとてもワクワクしたことはもう、忘れてしまっただろうか。 これはとある市立博物館の学芸員と、市役所から出向してきた事務員のお話。 View this post on Instagram A post shared by Syunsuke Yamasaki (@yam_syun) このラインより上のエリアが無料で表示されます。 話を引っ張る主人公は実は事務員のほう。無難に公務員をしていて、特に自分の主張もないまま異動のあった薄井くん。しかし彼は小さな博物館にきて、大きな刺激を受けることになる。 そこにいる学芸員はそれぞれの専門知識を持ち、それをプライドを持って還元しようとしている。小さな、古い博物館だが、そこに来る子どもたちに自然科学の面白さや不思議、そして世界と関わりながら生きていくということを。 剥製の管理の話や、動物園との共催企画の話など、「へー、そうなんだ」ということをマンガを通して読みつつ、博物館の意味や役割を考えるおもしろさもある。楽しさと興味深さがうまく混在したマンガだ。 ポスドクの研究員がやってきて、実はその苦しい研究生活が紹介されたり、北海道へ剥製を受け取りに出張し野生生物保護の現場に立ち会ったり、小さな町の博物館はいろんな世界と繋がっているのもおもしろい。 そしてもちろん、子どもとのつながり。子どもの学習のきっかけとして博物館と学芸員が力になったりするのは、おもしろい。父子家庭の親子の2分の1成人式とチーターやペンギンの子育ての話なんか、(自分が父親だけに)ちょっと泣かせてみたりする。 博物館は楽しい。私は今、東京都新宿区に暮らしているが、上野には科学博物館がある。年間パスポートを持っていて一時期はしょっちゅう連れて行ったものだ。そこに何があるのか「文字」としては理解していないし、剥製や恐竜展示くらいしかまだ興味がないが、子どもも子どもなりに楽しんでいたと思う。 小学生になり、理科や社会を少しずつ学んで、子どもの知的好奇心が育ってきたとき、「あそこに行けばもっと体験できる」ということを教えてあげられたら、と思う。小一の長男にはまだ早いのだが、ミュージアムトークにはぜひ参加させたいと思っている。 昆虫展や深海展などの企画展もよく連れて行くが、これも博物館の大事な役割だ(実は本書をテーマにした学芸員と博物館にフォーカスした特別展も過去実施されている)。そして、こういうイベントは「親が連れて行くかどうか」に子どもの参加チャンスはほとんど左右されてしまう。それだけに、どんどん連れて行ってあげたいと思う。 幸いにして、私はそういうの大好きなので、連れて行くのは苦にならない(というか、ものによっては子ども抜きでも行ってしまう)。子どもがイヤにならないようには注意しつつ、連れ回したいと思う。 そして、楽しいイベントの裏には、たくさんの学芸員の努力がある、ということもどこかで知ってもらえればな、と思う。 さて、この4巻、発売はちょっと前のことだ。どうやら5巻の発売が遅れているようだ。4巻の巻末には5月予定だったものが7月にずれているらしい。 実は一気読みをしようと3冊ため込んでいたものを、待てずに読んでしまったのでここでレビューをしてみる次第。 オススメである。 試し読み https://comics.shogakukan.co.jp/book?isbn=9784091895455Amazon紙書籍購入 https://□ama□/3hNMwogKindle版電子書籍購入 https://□ama□/3emkSfHヤマサキさんのコミック蔵書リスト https://booklog.jp/users/yamsyun 関連 投稿ナビゲーション 青春のせつなさは絵柄で描くかストーリーで描くか~「よふかしのうた」アニメ「映像研には手を出すな!」