代理人は悪魔か守銭奴か~「フットボールアルケミスト」 – 8th FEB.

代理人は悪魔か守銭奴か~「フットボールアルケミスト」

サッカーでも野球でも、世界的には代理人を使うことはトッププロほど当然のことだ。日本でも代理人の存在はそれほど珍しいものではなくなった。しかし、私たちはどこまで代理人のことを知っているだろうか。今日紹介するのはそんな1冊。

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タイトルは「フットボールアルケミスト」、つまりサッカーの錬金術師ということだ。まだ芽が出ていない選手を、その伸びしろやチームの相性などを考えながら、次のステップに導くことは、ある種錬金術の趣がある。

日本代表のサイドバックとして成長し、ワールドカップにも3度出場した長友選手も、大学生になって芽が出て、それをFC東京が見いだした。イタリア最初の移籍はチェザーナという小クラブだったがそこから移籍金2億円でインテル・ミラノへ移籍、さらに飛躍を遂げている。当然ながらそこには代理人の影の存在がある。

本作はそんなサッカーの代理人を取り扱うマンガだ。帯にも惹句が踊るが「業界初・代理人業を描く衝撃作」との名の通り、知られざるサッカーのもうひとつの世界が描かれている。

例えばキックバックのようなダーティマネーの話も飛び出してくる。マンガであってもなかなか生々しいのでこれはここで述べるより一読をお勧めしたい。

明らかに今までのサッカーマンガとはひと味違う。「フットボール・ネーション」が体幹というフィジカルから既存のサッカーマンガと違う視点をもたらしたとすれば、本作はエージョンを通じてサッカーのもうひとつの魅力を描こうとしている。

まだストーリーは始まったばかりだが、ふたりの代理人(ひとりは主人公格の見習い代理人の女性)それぞれの「闇」というか「背景」が少しずつ描かれており、数巻展開が広がるころには、代理人としてのストーリーとともにその背景も明らかになっていくだろう。楽しみを予感させる第1巻となっている。

もちろん、何でもダーティなことをする、というわけではなく、彼らは彼らなりのロジックでそのお金を動かしている、というのも実は注目したい。

投資の世界でも、何でも悪いお金のようにされがちだが、投資家には投資家なりの哲学があるのだ。

代理人を描く本作の試み、できれば5巻以上には話を膨らませてほしい。

オススメである。

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