藤原不比等没後1300年記念に古事記の成り立ちをマンガで読もう~「ふることふひと」 – 8th FEB.

藤原不比等没後1300年記念に古事記の成り立ちをマンガで読もう~「ふることふひと」

今年(2020年)は藤原不比等の没後1300年だという。さらに日本書紀が完成してからも1300年に当たるという。先に完成した古事記は2000年に完成1300年を数えている。

今回は、古事記と不比等の関係を描くマンガ、「ふることふひと」をご紹介。

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歴史の時代を扱うマンガはいろいろあるけれど、今回のマンガは古事記のなりたちが題材。主人公は、藤原不比等、太安万侶、そして稗田阿礼。

稗田阿礼が諳誦していたものを太安万侶がやまと言葉で書き取ったというのが「古事記」の特徴とされる。同時期に完成した「日本書紀」と並んで、記紀と称される。

ところが、この稗田阿礼というのは実在しているかどうか疑われていて諸説がある。たとえば梅原猛の著作「神々の流竄」では、藤原不比等が稗田阿礼である、という説を提唱しているくらいだ。

そこで今どきのマンガとして手をつけたアイデアが「不比等が女装して稗田阿礼になり、太安万侶を相手に口述筆記をさせる」という展開。

不比等は幼少時、政変があったときには女装して逃げられるように(周囲の遊びもあって)、女装を何度もしていた、というエピソードがはさまれる、かつ太安万侶はその稗田阿礼をちょっと好きになってしまう、というのもマンガチックで実に楽しい。

第1巻の最後のあたりでは、古事記の記述のための工夫を凝らしてみたり、内容について意見を交わしたりしつつ、これも学説としてある藤原不比等は天智天皇の落胤という話がはさまれる。2巻以降がいよいよ楽しくなってきたところだ。

史書は勝者の歴史を綴るものであり、しかしそれでいいのかという問いかけもある。日本書紀と古事記が同時期に並び立つこともまたそういった謎かけを深めているわけだが、あまり難しいことを考えずに当時の歴史を追体験してみる、というのはおもしろい趣向だろう。

そして、古事記といえば、国産みのエピソードや天岩戸のエピソードなど、感情豊かな神々の姿を読むのも楽しみのひとつだ。それもまた、不比等(稗田阿礼)の語りとして描かれる。こちらもまた、徐々にビジュアル化されていくのが楽しみである。

まだ第1巻が発売されたばかり。一気に読んで、WEB連載をしているMAGCOMIにアクセスして最新話を読んでみるのはいかがだろうか。
(現在だと、八岐大蛇のエピソードがつづられている)

オススメである。

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