地政学リスクはプロレス技で解決せよ?~「紛争でしたら八田まで」 – 8th FEB.

地政学リスクはプロレス技で解決せよ?~「紛争でしたら八田まで」

紛争は絶えることがない。紛争地帯にプロレス技を仕掛けるリスクコンサルタント女子がやってきたらどうなるか。今日はそんな異色の1冊を紹介しよう。

主人公は「地政学リスクコンサルタント」の八田百合。いろんな地方の食事(昆虫とかも食べちゃう)を楽しみ、時にプロレス技をしかけて問題を解決するリスクコンサルタントだ。

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ブレグジットのアイルランドへの影響、民主化の進むミャンマーでの民族問題、タンザニアの魔女狩りと外国資本の搾取問題など、世界には地政学的問題による紛争が山ほど存在する。彼女は現地に赴き、それを解決するのだ。

実は最初、世界の地政学的リスクになぞらえて、日本の(たぶん大学内の)トラブル解決をする、というマンガだと思って購入していたりする。できるだけ1巻は試し読みするようにしているのだが、ある意味予想は外れた。

主人公はちゃんと世界を飛び回る設定で驚いた。もちろん、現実のリアル路線ではないが、楽しく地政学リスクを学ぶ話となっている。

コミックの帯には「分断された世界は、儲かります」と書かれている。今はまさに分断が再開しようとしている世界だ。新型コロナウイルスの影響で、経済生産を国内で完結させようとか、農業生産の自給率を高め輸出を制限しようというニュースが出始めている。

世の中はグローバル化の推進が続いてきた。単純にいえば、「より生産コストの安いところで作り」「より販売価格の高いところで売る」を繰り返してきたのだ。何せ地球の反対側で収穫されたオレンジなどが日本で安価に買えるのだから、グローバル化はすさまじいものだった。今はもしかすると、そうした流れが止まろうとしている一大転換期なのかもしれない。

まさかこのタイミングに狙って書いたマンガではないだろうが、地政学的テーマのマンガが今このときに出ている、というのはなかなか興味深いところだ。

ところで、世界中の現地に飛び回るネゴシエーターのマンガとしては「勇午」というマンガを置いて語ることはできない。交渉人として世界中に飛び回る主人公の姿は、ゴルゴ13とは違う形でグローバルな世界を垣間見させてくれた。勇午の特徴は、とにかく現地で主人公が拷問されることで、中国では塩漬けの瓶(人間がぴったり入るサイズ)に閉じ込められて、体中の水分を吸い取られる拷問を受けていた。毎度毎度、拷問されるので、最後のあたりは、主人公の性癖ではないかと思うくらいだったが、読み応えのあるマンガだったことは間違いない。

「紛争でしたら八田まで」が勇午を超える作品になるか、はさておき、世界中を飛び回る話はいろんなアレンジで読みたい。できれば本作ものんびり長く続いてほしいと思うが、さてどうなるだろうか。

オススメである。

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