放課後500円以内の楽しみを追求しよう~「東京黄昏買い食い部」 – 8th FEB.

放課後500円以内の楽しみを追求しよう~「東京黄昏買い食い部」

ドラマ化もされた「ホクサイと飯さえあれば」の作者、鈴木小波氏は独特の線を描く漫画家だ。マンガは実写に近い線もあり、ピカソ的にデフォルメもあり、いろんな線画が楽しめるのも妙味のひとつ。もし気になっていていたら本作でデビューはどうだろうか。「東京黄昏買い食い部」である。

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「ホクサイ」のほうは大学生が主人公だったがこちらは高校生の女子2人組が登場する。高校生となると学校までの通学に電車が加わる。移動エリアも大きくなる。私の場合でも、定期券で所沢駅に降りられる分、ずいぶん世界が広がった。ゲームセンターに寄ったり、大型書店で立ち読みをしたり、レコードショップを冷やかしたり。

そして高校生の楽しみといえば「買い食い」である。移動があるし学生は腹が減るものだ。女子は女子で、腹が減るし甘いものも欲しくなる。

ふたりの女の子が「買い食い部」と称して500円のワンコインで東京の買い食いを楽しむ、というのがこのマンガ。秋葉原のミルクスタンドでいきなり牛乳を飲んだりして、楽しそうな笑顔をみせる。

このマンガ、ちょっとおもしろいのは「高校生編」と「社会人編」の2タイプの買い食い部が交互に描かれること。高校のとき、買い食い部として仲良くなったふたりは社会人になっても縁があって時々会っては買い食いをする、という趣向だ。

社会人編、ちょっと変化があるのはお酒や食事も入ってくることだ。浅草にいってドジョウを食べてみたり(これは買い食いには含まない)、お酒を飲んだりするのは大人の散歩の楽しみだ。

一方で、毎日の放課後にだけある「いつでも」という楽しみは社会人にはなくなる。社会人は「ときどき」という楽しみに変化してしまうからだ。

そんな、高校生と社会人が交互に描かれることで、不思議な奥行きが出てくるのが本作のおもしろいところだ。

鈴木小波氏の絵柄はちょっと癖があるので「ホクサイと飯さえあれば」は読みづらいという人もあるだろう。でもこちらはバランス良い書き込みで、かわいさも担保されているのがいい感じだ。

いずれにせよ、買い食いマンガが楽しいことはいうまでもない。オススメである。

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