飯テロ拷問に毎回屈するお姫さまがかわいい~「姫様、拷問の時間です」 ファンタジー系ギャグマンガは山ほどあるがなかなか当たりを出すのは難しい世界だ。その中で「魔王城でおやすみ」と本作はうまくアレンジできている作品だと思う。「おやすみ」のほうはアニメ化も決まって大ヒット済みなので今回はこちらの最新刊を紹介してみよう。 View this post on Instagram A post shared by Syunsuke Yamasaki (@yam_syun) このラインより上のエリアが無料で表示されます。 本作の主人公はとらわれの姫君。女騎士団長として剣を振るい奮戦するも魔王軍の捕虜となってしまったのだ。王家に伝わる秘剣(会話もできる)と、とらわれの姫君には恐るべき「拷問」が課せられる。そう。王国の秘密を引き出し、魔王軍を進撃させるために。 そこで拷問のスペシャリストが姫君を毎日「拷問」するのだが、ギャグマンガである以上、バイオレンスに痛めつけることは決してない。 このマンガにおける拷問といえば、美味しそうな食べ物だ。焼きごてを出してきて「拷問だ!」と驚かせておいて、チーズをとろとろに焼いてホットドッグに乗せる。美味そうな匂いがただよってきて、つい姫君は白状してしまう。そんな感じ。 姫君の背景がネタにされているのもおもしろい。たとえば、なぜか魔王軍の若い子たちと友情を育んでみたりする。王国では姫君として同年代の友人もなかった彼女が、拷問担当の子と仲良くなって遊園地で遊ぶ話があったりするのだ(なんで捕虜が遊園地とかツッコミはいれないこと)。 拷問で吐かなければ、遊園地で遊べないよと誘うのだが、スマホ画面に「入り口でずっと待ってるよ!」なんてメッセが届いたら、これは誰だって白状するしかないだろう。 そして姫と拷問官は楽しく遊園地で遊ぶ。同い年の友達と遊園地で遊ぶという憧れを実現できて姫様大喜び。……あれ、魔王軍のほうがいい人じゃないか? 魔王軍のほうが実はホワイト企業っぽくてそこもまたおかしい。深夜に裏門が手薄になるという情報を姫様から聞き出しても魔王様は、深夜の攻撃は負担だから辞めよう、とか言っちゃう。捕虜の姫君には1カ月ごとに健康診断を受けさせる。ちなみに魔王、なぜかアニメオタクで娘を溺愛してたりする。 最近のファンタジー系マンガやライトノベルは、テレビゲーム(ドラクエやFF的なもの)の不文律を前提としていることがある。いわゆる転生ものだ。不文律を強いるのは個人的にあまり好きではないのだが、「魔王城でおやすみ」と本作はあまり常識を求めない。単純にマンガとして読めるようバランスがうまくとれているのがいい。 また、この2作品は絵柄のかわいさがまたよくできていて応援したくなる。実は1巻の表紙のほうが姫様が表紙でそのときブックレビューしておかったかなと思う。上記Instagramの写真は、魔王とその娘ちゃんの絵だったりする。 連載もそれなりに人気っぽいので続刊もアイデアが続く限りぜひがんばっていただきたい。なおスマホアプリ「ジャンプ+」でかなりの話数が今なら読める。 オススメである。 試し読み https://shonenjumpplus.com/episode/10834108156649530410Amazon紙書籍購入 https://□ama□/2H8zQHoKindle版電子書籍購入 https://□ama□/2OEQ0w9ヤマサキさんのコミック蔵書リスト https://booklog.jp/users/yamsyun 関連 投稿ナビゲーション メガネでおさげの委員長女子は実はおばかさんで不良くんが頭がいい?~「いいんちょと不良くん」柔らく優しい絵柄は厳しく戦争の一面をえぐり取る~「戦争は女の顔をしていない」