メガネでおさげの委員長女子は実はおばかさんで不良くんが頭がいい?~「いいんちょと不良くん」 – 8th FEB.

メガネでおさげの委員長女子は実はおばかさんで不良くんが頭がいい?~「いいんちょと不良くん」

大作ストーリーを追いかけるマンガ読みの醍醐味もあるけれど、軽く読めるマンガもやはりマンガの愉しさだろう。

今回の一冊はのんびり続刊を待っては読み終わるまでの数十分、ほんわりとした気分になることが待ち遠しい一冊かも。ただしタイトルとちょっと違う展開がおもしろいのだ。

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タイトルが「いいんちょと不良くん」と書いてあるとおり、委員長キャラの女子と、不良キャラの男子のふたりの話だ。しかし、キャラ設定がちょっとおもしろい。

委員長キャラの彼女、メガネっ娘だし、どちらかといえばオシャレではないおさげだし、そこまでは典型的「委員長」キャラなのに、成績は壊滅的なのだ。おばかさんといってもいい。委員長キャラといえば頭がいい子を出すセオリーをあえて崩してきた。

対する不良男子。こちらも学校はしょっちゅうサボるし、服は着崩しているし、髪は染めてピアスしているけれど、実は頭がいい子だったりして。こちらもセオリーを崩してみたりする。

委員長女子がかわいいので(実は頭が良くないことは知りつつ)、「この問題の解き方教えて」なんてからんでみる不良男子。もちろん彼は解き方なんかは分かっていて、話しかける理由にしてみたりするが、彼女は彼女で一生懸命教えてあげようとする(だが諦めて分からないと白状したりする)。そのあたりの流れがういういしくてかわいい。

絵柄も青春のういういしさを描くには向いている感じなので、ほわほわしながら一冊を一気に読むことができる。性根の腐ったヤンキーも、いじわるな先生もいないしね。たまにはそういう世界観を楽しんだっていいのだ。

この作家さんは、絵描きさんの発表の場としてのSNSであるpixivやTwitterで注目を集めて、PIXIVマンガで連載のチャンスを得たらしい。このレビュー枠では何度かそんな作家さんを取り上げているが、新人の漫画家さんに持ち込み以外でチャンスが増えるっていいことだと思う。

だいたい、コミュニケーションが苦手で持ち込みなんかビビってできないような人が家にこもってひたすら絵を描いていると漫画家になるのであって、そうした人にとってはネットこそが一番の表現の場なのだ(叩かれてメンタルが折れることもあるけれど)。

本作も、2巻以上でどう展開を広げるか、またストーリーの深みを増すか(あるいは意図的に深めないでゆるゆる続けていくか)は徐々に作家さんとしての力量が問われることになるだろう。あるいは次作以降のほうが正念場だろう。何度もネットで鯛は釣れないのだから。でも、こういう絵柄の作家さんがゆるゆる成長をしていってもらえるとうれしいなあと思う。

さて、今回は絵柄のせいか、ゆるゆるふわふわという言葉ばかり連ねてしまった。語彙力がないコミックレビューで申し訳ないがお許しいただきたい。オススメです。


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