ゾンビものはとうとうフランス革命にまで達す～「ベルサイユオブザデッド」

「○○・オブ・ザ・デッド」といえば基本的にはゾンビものと決まっている。例えばゲームセンターのガンシューティングの名作といえば「ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド」でこれはずいぶんハマったものだ。

というか邦題「ゾンビ」の現代は「ドーン・オブ・ザ・デッド」なのだ。Wikipediaにはなんと「「オブ・ザ・デッド」で終わる作品の一覧」という項目すらある。

マンガの中には怪作として「こころオブ・ザ・デッド～スーパー漱石大戦～」というものがある。夏目漱石キャラが総登場してゾンビものになっていたりするのだ。未完なのが心底残念な作品である。

さて、今回はとうとうベルサイユ宮殿がゾンビのターゲットとなる。コピーも秀逸だ。「パンがなければ「肉」を喰え」ときた。

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マリーアントワネットのお輿入れが舞台の始まり。ところが彼女の乗った馬車はゾンビに襲われてしまう。まさか移動中に彼女が亡くなった、と告げるわけにもいかないフランスは、彼女の弟を女装させてマリーアントワネットに迎える。

フランスの全土は（あるいはヨーロッパ全土は）、ゾンビが増殖しており、手をつけられない有様なのだが、偽の「マリーアントワネット」にも何やら曰くがあるようで、そこがぐいぐい話を読ませてくれる。

最初は色モノだろうかと手に取ってみたが、これがなかなかおもしろい。絵柄もできあがっている作家さんだし、ストーリーも読者を引きつける。

ところがコミックが２巻（2018年１月）を出たところで、オンライン連載の更新はストップしてしまっていた。作者の体調などの理由なのかはオープンになってはいないが、続きが読めないのは残念に思っていた。

ところがある日書店で３巻を目にして驚いた。実は連載が再開されていたようなのだ。本来のペースであれば2019年の１月に出ていてもおかしくないものだったが、これはうれしいニュースだ。

最近ではオンライン連載のような媒体も増えたので、紙の週刊誌、月刊誌に囚われなくなったものの作家にとっては締め切りが必要だ。

締め切りがないと刊行ペースはどうしても遅くなる。これはサボるという意味ばかりではない。話を練りに練ったり、絵柄を凝りに凝っていたらいつまでも原稿は公開されないからだ。締め切りがある故にどこかで見切りをつけることができる。

一方で締め切りはプレッシャーでもある。追い込まれてメンタルを崩す作家もある。体調を悪くすることもあるだろう。

その点では、作家さんが続きを書く元気を取り戻してくれたのでればこんなにうれしいことはない。

３巻では実は展開が大きく動き出す。ベルサイユ宮殿の地下に眠っているジャンヌダルクの復活というイベントがあって、そこにまたゾンビの増える理由や偽のマリーアントワネットの謎がからんでストーリーが動き出している。

どうやらオンライン連載は第二部に展開しているようだ。更新が継続しているところをみると、４巻を目にする機会もほど遠くなく恵まれそうだ。実に楽しみである。

ところで、マリーアントワネットが登場する以上、フランス革命ともストーリーは無縁ではいられないだろう。その点でも今後の展開が楽しみだ。まさか、マリーアントワネットがゾンビとなってギロチン台に上ることになるのか、あるいは……

下記には小学館のオフィシャルサイトから第一話の試し読みをリンクしているが、各種マンガアプリで配信もされているので、ちょっと検索をしていただければ幸いだ。これはおすすめだ。