東京タワー前でイルカと交流するゆるめサバイバルライフ~「ゆるさば」を読む~ – 8th FEB.

東京タワー前でイルカと交流するゆるめサバイバルライフ~「ゆるさば」を読む~

そろそろ4巻が発売されそうかな、というタイミングで、あえてレビューをしてみたい。というのは積ん読していた中から気まぐれに選んで読んだら、良さを再認識したからだ。

基本的な話はこんな感じ。ある家族が一夜明けてみると、人間は自分たちだけの世界だということに気がつく。いかにもよくあるSFネタだ。しかしそれが面白く描かれている。ということで紹介してみたい。

ネットはつながらないが電話やガスはなぜかつながる。でも生鮮食料品の確保には限界があるので、自分たちで肉や牛乳を確保する必要に迫られる。

調べてみると、周囲は遠ざかるほどに廃墟化、自然化が進んでいる。試しに郊外の自宅から山手線内まで車でやってきたら、東京タワーのふもとまで海が近づいてきていて、自然のウニやカニや魚が暮らしている。レインボーブリッジあたりではイルカと遊べてしまうくらい「人間のいない世界」になっている。

家族は生物の先生のお父さん、三人娘の姉妹。お母さんは亡くなっているらしい。お父さんの生物の知識がここで活かされ、なんとかヤギから牛乳やバターを作ってみたりするサバイバルができていたりする。また周辺環境がいかに自然に戻ってきたか説明するのもお父さんの役割になっている。

ある朝突然にわが家だけが生き残っている、というのはある意味SFの定番だ。しかしこのマンガではその定番もどこかゆるゆるとしているのがいい。タイトルの通り、「ゆるいサバイバル」なのだ。

だからといって、別に萌え絵というわけでもない。それが読んでいてちょうど心地よいところにバランスされている。

ゆるめのサバイバルライフなので、あまり生死を分かつようなピンチは訪れない。それは読んでいてちょっと気が楽だ。やはり誰かが死んで減っていくような話は気が重い。

一方で、3人姉妹はそれぞれに悩みを抱えていたようで、新しい生活にそれぞれの立場から順応していたりする。前の世界に戻りたいと泣きわめくこともない。このあたりのバックグラウンドは少しずつほのめかされているので、これから少しずつ描かれていくことになりそうだ。

さて、まったくネットはつながらないはずだった家族のスマホに、着信が入ったところで3巻は終了した。どこともつながっていなかったはずのスマホは誰の着信かメッセージを受け取ることになるのだろうか。

3巻まではゆるめサバイバルライフだけを描いてきたが、4巻からはゆるめSFに展開するのか気になってきた。できれば長めに展開する伏線となってほしいところだ。

でも、もしかするとあるときいきなり「朝起きたらいつもの世界に戻っていた」でエンディングになるのかもしれない(マンガが続くのはある程度の人気維持が必要なので)。でもそれもそれで、SFの終わりのひとつなので、ぜひちゃんとケリをつけて欲しいと思う。

というわけで、試し読みで面白かった方は、ぜひご一読を。オススメですので。

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