Uターン静岡ガールだって人生は楽しいはずだ~「ローカル女子の遠吠え」 – 8th FEB.

Uターン静岡ガールだって人生は楽しいはずだ~「ローカル女子の遠吠え」

静岡で講演をしたことが何回かあるが、肝を冷やしたことがある。冒頭の講師紹介で「講師の山崎先生は、熱心な浦和レッズのファンでもあるそうです」とアナウンスされたときだ。会場の空気が数度くらい冷え込んだ……気がした。

事前に講師紹介のための補助資料が欲しいと言われて、としてプロフィール用のテキスト(複数の紹介パターンを載せてある)を送ってあったのが、それが間違いだった。「まちあるき好き」「マンガが大好き」のように趣味についていくつか書いてあった中にサッカーについても触れていたのだが、わざわざサッカー大国の静岡で「レッズサポ」なんて言わなくてもいいだろうに!

あわてて「一番好きな選手は静岡出身の小野伸二です!(これは本当)」とか、ご当地フォローをして会場の空気をリカバーするのにずいぶん苦労をした。

ご当地ネタでアイスブレークするのはセミナー講師の基本テクといえるが、実は静岡はそう単純ではないらしい。「ローカル女子の遠吠え」を読んでいるとそれがよく分かる。

例えば、あまりにも広すぎて、伊豆と、浜松エリアと富士山のふもとあたりでは、ずいぶんカルチャーが違うのだという。このマンガを読んでから地元ネタと思っていたがエリアが違うネタを披露していたのかもしれないと焦った記憶がある。

マンガ自体は、東京からUターンし地元で再就職してきた女の子とたちの仕事と静岡ライフをつづったもの。クラスでは委員長キャラだった主人公、東京で超ブラック企業にメンタルを壊されて地元に帰った友人、東京でモデルをしたが限界を感じて地元企業に勤める同僚など、いろんな「静岡ガール」が登場する。

話は4コママンガ形式なので、するする読める。ご当地マンガはたくさんあるが、静岡ネタはけっこう面白い。

静岡県の鉄板ネタとして、富士山大好きネタとお茶ネタは基本として(といっても、茶摘み休暇だけじゃなく、お茶を飲もうという条例があるネタとか幅広い)、なんでも家康ネタにして喜ぶ静岡県民とかなかなか面白い。

今回の新刊では実はツナの缶詰生産日本一は静岡だというネタまで登場して地味に勉強になってしまったりする。しかもマグロのツナ缶とミカンの缶詰を生産することで年間を通じて操業できたことで缶詰産業が発展したとか。いやはや静岡は奥が深い。

ローカル女子の遠吠え、と題しているものの、東京にまだ未練を残していたり、東京に戻るとあがいているわけではなく、地元に戻ってのんびり楽しく暮らすのも悪くはないんじゃないか、というトーンであるのが、好感が持てる。

このマンガがもし、「やっぱり東京がいいなあ」という恨み節マンガだったらたぶん、オススメはしないだろう。人生いろいろあるけれど、今の生活を前向きに捉えて楽しめるほうが絶対にいい。

あっさり2巻くらいで終わるかと思っていたら、淡々と面白さが持続しているので気がつけば5巻まで来た。まだまだいけそうな気がする。「ローカル女子の遠吠え」、オススメです。

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