印象派の画家というと、「巨匠」のイメージがあるが、彼らは登場したときは「新人」でありずいぶん批判にさらされた。のちに印象派展となった展覧会は守旧派のメディア(新聞)からは論評されたことは有名な話だ。
後に印象派を名乗ることとなる面々、ルノアール、モネ、ドガ、セザンヌなどが旧来の画壇に反発して独自の画展を開催したという「一歩」が、これだけ時代を変えてしまうことになるとは誰も思わなかっただろう。むしろ今では彼らのほうが今では伝統的な画家のように思われているのは面白くもある。
そんなことを考えながら読むと面白いのが「モネのキッチン」だ。2巻で完結らしいが、むしろスッキリ終わらせられたとも言えるので、未読の人のために今回取り上げてみたい。
メインの「画題」は「食事」だ。マネやモネ、ルノアールやドガがまだ若くして新作の絵を発表していた時代、どんなものを食していたかが、創作や青春を過ごす彼らの生き様とともに描かれる。
当然ながら冷蔵庫はないし、流通もそれほど強力ではない。そしてまだ売れっ子になっていないためお金も限られている。しかしそんな彼らの食を通じて当時の生活も見えてくる。
カスクート(サンドイッチ)、カトル・カール(パウンドケーキ)から、コトリアード(鱈と貝のクリーム煮)、カモのパイにガレット(そば粉クレープ)、オムレツまで、登場する食事はどれも美味しそうなものばかりだ。第一話に登場した鶏肉の狩人風もいい。今でも食べられるものも多い。
食事を重ねながら、当時の画家たちの葛藤や芸術への情熱が語られ、それがまた印象派誕生のきっかけを知る物語となっていて、なかなかおもしろい作品だった。
作品の性質上、数巻で完結するタイプのマンガだったが、きちんと2巻で完結し、印象派の船出を示するところまで描ききっているのも読む側としては心地よい。
大長編もいいけれど、最初から超編を想定していない佳作というのも悪くないと思う。モネのキッチンもそんな作品のようだ。ちょっとリラックスして幸せな気分になれる食マンガを読みたいのなら、オススメである。
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