内田百閒のおかしみが淡々とした画風で描かれるおかしみ~オススメマンガ「ヒャッケンマワリ」~ – 8th FEB.

内田百閒のおかしみが淡々とした画風で描かれるおかしみ~オススメマンガ「ヒャッケンマワリ」~

 内田百閒といえば、夏目漱石の弟子筋にあたる。随筆家としての評価のほうが高いのではないか。黒澤明監督の映画「まあだだよ」でも有名かもしれない。

 鉄道大好きの鉄ちゃんとしても有名で、用事もないのに大阪まで特急に乗って帰ってきたりしていたら、とうとう一日名誉駅長なんかも依頼されるようになっていたりする。  

そんな内田百閒先生の日常生活を、たくさん残された随筆をベースに、コミックエッセイ風にまとめているのが今回紹介する「ヒャッケンマワリ」だ。 

絵柄が淡麗で、塗りをしない不思議な画風だ。1コママンガの絵をそのままマンガにしている、といえば通じるだろうか。またベースの随筆を引き直すことがあるのでどうしても文字も多くなる。  

しかしそれが不思議と心地よい読み応えになっており、ちょっとずつ読み進めるのには幸せな作りになっている。 芥川龍之介との交流についてのエピソード、夏目漱石をいかに敬愛していたかが読み取れる葬式前後のエピソード(これは下記リンクの試し読みで読める)に始まり、借金話、飛行機倶楽部を設立して大学生のローマ行きチャレンジを支援する話など、おもしろいエピソードが目白押しだ。愛猫との別れ話もまたほろりとさせたりする。  

玄人好みの良作を次々生み出している「楽園」という季刊雑誌があって、そこに連載されていたものだが、基本的に恋愛マンガばかりのところに毎号数ページの内田百閒先生のエッセイが載っているのも面白かった。編集者のセンスだろう。  

ところで、紙の書籍のほうは、銀の箔押しというちょっとぜいたくな仕様になっている。おかげで上記写真は反射してしまいうまく撮るのに苦労したが、「紙の書籍を買う悦び」もちょっと満足させてくれる。  

すでにちょっと古い発売の本なので、もしも書店でみつけたら、ぜひ捕獲してあなたの家にお迎えしていただければと思う。オススメです。 

 1話目試し読み https://www.hakusensha.co.jp/comicslist/49922/ 
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