短い短編の人物模様が描かれ、それがまた次の短編の人物模様につながっていくような連作短編集というのは時々読みたくなります。作者が最初から長いストーリーを狙っておらず、一冊のコミックとしてまとまる連作短編集を狙っているとすればなおさらです。

今回紹介する「つれづれ花譚」もそうした一冊。「花」を軸に人物模様が引き継がれつつ、お話は広がっていきます。前作「こうふく画報」もそうだったのですが、舞台は大正から昭和初期の雰囲気をもった世界。髪結いであったり、家事をこなす様子であったり、いろんなところに古き良き時代の生活が描かれていくのもおもしろいところです。
この作家さんは大正~昭和初期の日常生活を愛情をもって描いているのがよく分かります。イギリスのメイドやアジア遊牧民の姿を偏愛にも近い書き込みで描く森薫さんのように、自分の好きな世界観を作品に活かしているのは好感が持てます。
例えば、髪結いをお仕事としている女性と、髪結いをしてもらう中流階級の娘さんとのエピソード、女中さんの一日の家事を描いたエピソードなど、日常生活を丹念に描くところに、登場人物の気持ちの動きがよく表現されています。
髪結いをしながら汗を流す(当然クーラーはないから)のですが、それがまた髪結いの仕事の大変さと、当時の日常生活をさらりと示す「仕草」になっていたりして。そういう細かさがよい。
あと、ちょっと嬉しいのは、エピソードごとにおまけマンガが1ないし2ページついてきてそれぞれのちょっとした後日談も描かれていること。人物の成長や人間関係の進展がちょっと描かれるのも連作短編集の面白さですね。
前作「こうふく画報」と今作「つれづれ花譚」で作風が定まってきた感じがするので、次の作品がいよいよ楽しみになってきました。今度はちょっと長めのストーリーを読みたい気もしますし、またまた連作短編集でもいいなと思います。
短編集でお気に入りになった作家については、読者としては悩ましいところですが、成長を楽しみにしているところです。オススメをします。
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