生き方、モノの見方考え方、高校のとき何を考えていたか~オススメコミック「ここは今から倫理です」 高校の時「倫理」は取ったか記憶はあるでしょうか。私の場合、倫理は必修だったので受けた記憶がある。若干、ホモっぽい若手の先生が担当で、そしてそういう先生は男子校の学生の絶好のからかいの対象であった(もちろん私はそういう男子高校生のノリが嫌いだった)。 自分は倫理が楽しくてしかたなくて、いろんな哲学をざっと学んで自分なりの言葉で記述をしてみるのが好きだった。今でも「中庸」というのは自分の基本的スタンスのひとつだなあと思うし、「観想的生活」とかしたいなあと思う。あの1年間に受けた倫理の授業が、自分のモノの見方考え方のバックボーンのひとつにもなっているなと思うくらいだ。 しかし同級生のほとんどは倫理に無関心で、それが私には理解できなかった。何せ試験対策として教科書とノートをベースにして仮想問題を作成、その解答を作成したあと「丸暗記」して試験に臨んでいるヤツがいたくらいだ。倫理の本質への誤解もここまで通り越すとすがすがしいくらい間が抜けている。 View this post on Instagram A post shared by Syunsuke Yamasaki (@yam_syun) 私は中央大学附属高校の出身で内部推薦で中央大学に行ったのだが、「丸暗記倫理」で高得点を取ったバカ(倫理を丸暗記するくらいバカなことはないだろう)が法学部法律学科に行って、自分が行かないというのも、これまたバカな話だなと思った。その頃の自分は希望学科を自由に選べるボーダーラインにいた。 倫理丸暗記バカのおかげで定期試験をがんばり、なんとか法学部法律学科に滑り込んだことが、今の人生につながっているともいえ、その意味でも倫理は自分のビジネスキャリアのきっかけだったのかもしれない。 ……前置きが長くなったが「ここは今から倫理です」は、倫理を主題に置いた過去にないマンガのひとつだ。場所は偏差値もあまり高くないとある高校、そして主人公は倫理の教師。選択科目である倫理を受けている子どもたちの抱えている悩みとその解決を考えていくことがストーリーの中心になっている。 高校生って、それぞれいろんな悩みを抱えている。それがリストカットや自殺騒動のようなところまで発展するかどうかは別としても、ひとりひとりは何かしらの悩みや恐れと向かいながら生きている。 そうした悩みは、当事者にとっては切実で、苦しくて、心の痛みを伴うことばかりだが、年を取ってしまった第三者にとってはくだらなくどうでもいいことに見えたりする。 乗り越えるために必要なことは読書であったり勉強であったりする。そしてそういうものがたぶん、不安や悩みをひとつ受け入れ、ひとつクリアしていく力となる。 第一話で主人公が言う台詞がふるっていて、倫理は「この授業で得た知識が役に立つ仕事はほぼない」と言う。しかし、人が生きていくとき、何かの支えとなる知識でもある。 3巻目が先日出たばかりだが、小さな学校という世界が徐々に広がってきて、シリアスなテーマも避けずに向き合おうとしているところに好感が持てるシリーズとなっている。一方で、重すぎないところもバランスがよく、読んでいて本を閉じるほど辛くはないのは作者の手柄だと思う。 試し読みの第一話を読んで、ちょっといいかもと思えたのなら、ぜひともコミックの購読をしていただければと思う。 第一話試し読み http://grandjump.shueisha.co.jp/manga/rinri.html Amazonで書籍購入 https://amzn.to/2H2t32JKindleで電子書籍購入 https://amzn.to/2H1rvGn 関連 投稿ナビゲーション 少しレトロな絵柄がこのミステリーにベストマッチ~「虚構推理」漫画のぶっとい線が“文学”を再定義する? 太線大好きな人はとりえずすぐ読め~「児玉まりあ文学集成」を読む