少しレトロな絵柄がこのミステリーにベストマッチ~「虚構推理」 – 8th FEB.

少しレトロな絵柄がこのミステリーにベストマッチ~「虚構推理」

小説をコミカライズするというのは一種の冒険のところがある。アニメ化された「氷菓」は推理小説ながら青春小説のテイストを含むことを活かしてこれを乗り越えた感がある。

純粋推理小説だとそれはそれでビジュアライズされることですごく助かる面もある。人間関係とかときどき図解してもらえることで話も分かりやすくなるし。

「虚構推理」も推理小説をコミカライズした作品だが、伝奇ミステリーとしての性格もあいまって漫画化に向いていたようだ。未読の人にはお勧めしたくなるくらいの良さだが、なかなか語るタイミングがない作品でもある。今回新刊が出たのでネタにしてみたい。

「虚構推理」というのは最初のシリーズのタイトルだが、「虚構の推理が流布することで、怪異が存在しないことを納得させる」というミステリーとしては逆転のロジックを用いたところが面白かったが、コミカライズがまたうまく機能していて楽しくドキドキしながら読ませてくれた。聞いた話では原作の再評価につながり、シリーズの再起動にもなったのだとか。

主人公のバディは怪異を司る美少女と、死ぬことのできない男性。そして次々現れる怪異や物の怪たち。これがまたちょっと古めの絵柄のコミカライズにマッチしていて、よい感じだ。

絵柄だけだと、1980~90年代にヒットしそうな絵柄であり、2020年を間近に控えた今どきには向いていない気がするのだけれど、すごくバランスのよい舵取りがされていて、ちゃんと現代風になっているのは本当に不思議だ。

気がつけば先日10巻が登場、ストーリーは当初の範囲を超えて動き始めているのがとても嬉しい。今では原作小説のほうがこのために新作を書き下ろしてくれているということで、コミックが原作を動かしたなんてちょっと面白い。

まだまだ力強い展開が期待できるので、今からでも未読の人にはぜひお勧めしたい。

ところで、さらにニュースがひとつ増えた。「虚構推理」はアニメ化が決定したという。できればこの絵柄のちょっとレトロな風合いは残しつつ、デジタル時代のアニメとして上手に再現してもらいたいところだ。

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