「のの湯」~銭湯女子、三者三様の生き方もお風呂に浸かればひとつ~ – 8th FEB.

「のの湯」~銭湯女子、三者三様の生き方もお風呂に浸かればひとつ~

「のの湯」の最新刊が発売されたので楽しみに読んだ。銭湯女子、なんて言い方で説明するのは本当は違うのだけれど簡単にいえばそういうテーマのコミックだ。

とあるアパートに暮らす3人の女子。ひとりはトリマーになる夢を描いてがんばるファッション女子、ひとりは留学生として日本にやってきた(どちらかといえば)肉食系女子、そしてもうひとりは浅草で人力車を引く元気印女子。

外見も性格もまったく違う三人が、ふとしたきっかけから銭湯に行き、また銭湯通いを通じて心がつながっていく様を描くのがこの「のの湯」だ。

銭湯に行けばスッキリする、というのは誰でも知っていることだろう。広い浴槽、広い洗い場、広い更衣室はそれだけで自宅の狭い風呂とは別世界の楽しさがある。古い銭湯にはそのクラシックな内装が、新しい銭湯にはその清潔感ある内装がそれぞれ心を楽しませる。

見た目も性格も服の好みも全く違う3人が友達になっていく中で、銭湯という存在が大きな役割を果たしていく。服を脱いで同じ銭湯に入れば、徐々に距離は近づいていくし、ケンカしても仲直りできる。本音の話もできるようになる。

作者の絵柄が萌えにも偏らず、エロにもおもねらない、絶妙なバランスなので、銭湯女子の入力シーンもすっと読めるので、「へー、こんな銭湯あるんだー」のような楽しみと、銭湯を通じて深まる人間関係を読み進められる。

作者(原案)の久住昌之さんといえば「孤独のグルメ」「サチのお寺ごはん」「花のズボラ飯」など、食べ物系漫画の原作/原案をたくさん手がけていることで有名だが、まちあるき散策系の書籍もいくつか書いていて、個人的には「銭湯というテーマはハマったなあ」と思った次第。

そして、作者(画)の釣巻和さんは「くおんの森」のようなファンタジー漫画を描いており、昔から注目していた作家だったが、大ヒットというイメージではなかった。絵柄もファンタジー世界にマッチしていたところをあえて、原作つきの現代もの、銭湯女子漫画にセットした編集者の手腕を評価したいと思う。もちろんしっかり描いている作者も新境地を開いたのではないかなと思う。

私が住んでいる神楽坂界隈は割と銭湯が残っていて、まちあるきを企画したこともあるが、2つの銭湯がまったく違う客層とまったく違う内装で、それぞれの雰囲気を形成しているのは興味深かった。

一方で実家の所沢には銭湯はなく、銭湯に入ったのは成人して以降だったりもする(最近になってロードサイドにスーパー銭湯的なものができたが)。もっと早くに銭湯に親しんでいればよかったのにと思ったりする。

東京の23区内は減ったといってもまだまだ銭湯が残っているので、気まぐれで近くの銭湯に寄ってみるといいと思う。

「のの湯」に話を戻すと、個人的には大好きだったが続くか心配だった。しかし3巻を読む限り、まだまだ続けられそうだ。ドラマ化もされるらしいのでこれでまた人気が高まればいいな。「のの湯」オススメです。

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