PS2 「ワンダと巨像」 ワンダと巨像 PlayStation 2 the Best posted with amazlet on 08.02.10 ソニー・コンピュータエンタテインメント (2006/06/08) ■ama■ で詳細を見る 純文学では「単行本」→数年後に「文庫本」というステップが用意されている。前者が1000円前後、後者が500円前後で、その間は数年というところだろうか。 テレビゲームの場合、希望小売価格制なので店の在庫状況により「新作価格」→「値下げ価格」となる。最近では「ベスト」と称した「再販パッケージ価格」も出ている。買って数ヶ月もすると「新作価格」と「値下げ価格」の差が数千円以上になることは珍しくない。また、「再版価格」は2000~3000円程度で、これもまた一段階の値下げに等しい。 30歳も過ぎると、「本当に欲しいソフトはすぐ買って遊び」、「寝かせてもいいソフトは再版で買う」というアプローチがあっていいと思う。まあまあ好きな小説家は単行本は買わず文庫で買うような感じだろうか。18歳の頃とは違って、2・3年プレイするのが遅くても人生にそんなに支障はない。手当たり次第にゲームする時間のロスと新作価格で買い集める費用を考えれば、むしろ効率的ともいえる。 というわけで、「ワンダと巨像」。2007年秋に再版価格2800円で購入し、2008年1月に2週間くらいかけてプレイしてみた。 ICOチームのソフト作りは、肉体感覚が気がつく頃にはゲーム内ストーリーへの感情移入を可能とさせているところが良いと思うのだけれど、ICO同様、今回も右人差し指が画面の中のプレイヤーと「つながっていく」デバイスになっている。巨像につかまるキャラクターの握力をR1ボタンが代弁しておりゲーム内で必死に掴まる自分と、テレビの前で必死に右人差し指に力を入れる自分が一体化していくのが心地よい。 試行錯誤しながら巨像の弱点を探し、巨体にしがみつく感覚を画面のこちらで体感させてくれるのは、本当にゲームならではのおもしろさなのだろう。現実をゲーム化する際に記号化しても最後に戻ってくる快感は自分の「体感」というのがおもしろい。 映像も叙情的美しさを3Dで描画しており見事なもの。ストーリーも切なさを醸しつつ展開し、不思議な余韻を残して終わる。これだけの体感が2800円でできるなんて幸せなことである。 関連 投稿ナビゲーション 谷川史子 くらしのいずみアキハバラ@DEEP