「星明かりグラフィクス」~大学生のムダな熱量の愛おしさよ – 8th FEB.

「星明かりグラフィクス」~大学生のムダな熱量の愛おしさよ

大学生のムダな熱量というのは、通り過ぎてみるともう戻っては来ない。大人になってみるとどうでもいいことについて、一晩熱く語り合ってみるとか、大人になってみるとレベルの低い創作に夢中になってみるようなことは、学生の特権のひとつだろう。

「星明かりグラフィクス」は2人の美大生を主人公としたマンガだ。先日3巻が発売されて完結してしまった。もう少し長く読みたかったのでちょっと残念だったが、終わり方はきちんと気持ちよくできていたので、「読んでみたら?」と取り上げてみたい。

主人公はコミュニケーション能力抜群の美大女子、園部明里(美術学科2年)とコミュ障に近いがデザインセンスは抜群の美大女子、吉持 星(デザイン学科2年)のコンビ。自分のデザインセンスは及ばないコトを知りつつ、マッチングやコーディネートを受け持つことで、何かを生み出せないかと考えている明里が、星の才能をコントロールすることはできるのか。2人の関係性の変化と才能の活かし方がテーマである。

2巻まで、明里がコントロールしつつ成長の伸びしろを引き出そうとしていた星が、3巻で一気に才能が爆発し、その枠を飛び出して始める。そしてそのタイミングは、ふたりに「卒業」という人生の転機がやってくる区切りでもあった。チームを組んで創業するべきか、それぞれ社会人となるのか…

主線が太い絵柄の特徴もあって、マンガから飛び出してくる熱量が多いのが楽しい作品だった。最後まで一気に勢いのあるまま読ませる感じで、結果としては3巻完結で良かったかなと思う。

ちなみに私、大学生のときはポスト村上春樹を狙って小説書いていたことがある。就職をしないで小説家目指していたら人生どうなっていただろうか、なんて20年以上前のことを思い出したりした。友人にはプロの小説家や漫画家になったヤツも何人かいたりするが、自分の能力はどれくらいのものだったのだろうか。

誰にでもあったであろう青春の頃のエネルギーを、マンガを通してもう一度吸収してみてはいかがだろうか。オススメである。

星明かりグラフィクス(1巻) https://□ama□/2Rluzne