PS2 「ワンダと巨像」

ワンダと巨像 PlayStation 2 the Best
ソニー・コンピュータエンタテインメント (2006/06/08)

 

純文学では「単行本」→数年後に「文庫本」という
ステップが用意されている。前者が1000円前後、後者が500円前後で、
その間は数年というところだろうか。

テレビゲームの場合、希望小売価格制なので
店の在庫状況により「新作価格」→「値下げ価格」となる。
最近では「ベスト」と称した「再販パッケージ価格」も出ている。
買って数ヶ月もすると「新作価格」と「値下げ価格」の差が
数千円以上になることは珍しくない。また、「再版価格」は
2000~3000円程度で、これもまた一段階の値下げに等しい。

30歳も過ぎると、「本当に欲しいソフトはすぐ買って遊び」、
「寝かせてもいいソフトは再版で買う」というアプローチが
あっていいと思う。まあまあ好きな小説家は単行本は買わず
文庫で買うような感じだろうか。
18歳の頃とは違って、2・3年プレイするのが遅くても
人生にそんなに支障はない。手当たり次第にゲームする
時間のロスと新作価格で買い集める費用を考えれば、
むしろ効率的ともいえる。

というわけで、「ワンダと巨像」。2007年秋に再版価格2800円で
購入し、2008年1月に2週間くらいかけてプレイしてみた。

ICOチームのソフト作りは、肉体感覚が気がつく頃には
ゲーム内ストーリーへの感情移入を可能とさせているところが
良いと思うのだけれど、ICO同様、今回も右人差し指が
画面の中のプレイヤーと「つながっていく」デバイスになっている。
巨像につかまるキャラクターの握力をR1ボタンが代弁しており
ゲーム内で必死に掴まる自分と、テレビの前で必死に右人差し指に
力を入れる自分が一体化していくのが心地よい。

試行錯誤しながら巨像の弱点を探し、巨体にしがみつく感覚を
画面のこちらで体感させてくれるのは、本当にゲームならではの
おもしろさなのだろう。現実をゲーム化する際に記号化しても
最後に戻ってくる快感は自分の「体感」というのがおもしろい。

映像も叙情的美しさを3Dで描画しており見事なもの。
ストーリーも切なさを醸しつつ展開し、不思議な余韻を残して終わる。
これだけの体感が2800円でできるなんて幸せなことである。