アキハバラ@DEEP アキハバラ@DEEP (文春文庫) posted with amazlet on 08.02.14 石田 衣良 文藝春秋 (2006/09) ■ama■ で詳細を見る 秋葉原はとても好きな街だ。最近ではヨドバシカメラができたおかげで重心が山手線の東側に傾いているような気がするが、自分にとって秋葉原といえば自作パソコンの街であって中央通りの西側のことだ。新宿や有楽町の電気店で4000~5000円するmicroSDカードが秋葉原の裏道の小さな店を回れば1500~2000円になる。これが秋葉原である。(コミック、アニメの街であることもまた事実だけど、 ここは観光地ではないと思う) さて、石田衣良といえば、「池袋ウエストゲートパーク」など地域性をたくみに取り入れた小説が上手い作家だが、本作でも秋葉原という地域性を上手に取り入れ、登場人物のコミュニケーションの不器用さに説得力を与えている。そう、秋葉原は不器用な人の集う不器用な街なのだ。 話の内容は、インターネット時代を背景にした現代の電子的ファンタジーでありつつ、若者が集まるベンチャー的なワクワク感も織り交ぜ、現実とも向かい合う話にまとめあげているところがおもしろい。ついでにいえば、巨大な敵として登場する企業がソフトバンク的なのもちょっと可笑しい。 ところで、この小説の描く未来予想図の根っこの部分は攻殻機動隊の2巻のような世界に近い。石田衣良というと毛嫌いする層もあるかもしれないが、それくらいの感じで、ちょっと目を通してみると意外におもしろいと思えるのではないだろうか。秋葉原とオタクを知る人(あるいは自分がそうである人)にとって自分も当事者の一人になった気分で読める一冊だと思う。 関連 投稿ナビゲーション PS2 「ワンダと巨像」フルメタル・パニック! せまるニック・オブ・タイム