人生には、同じ世界が、今日と明日で違って見える瞬間が何度かある。「ふたり街あるき」はそんな瞬間のひとつを切り取ったマンガだ。
かつて「散歩」が趣味といえば、それはおおむね、緑の多いエリアを森林浴のような趣であることを意味していた。あるいはジョギングのように健康維持を目的とした外出というイメージだ。
しかし今「街歩き」といえば、そこには地理・歴史的な発見が含まれたり、雑学的な世界としてこれを楽しむ人が増えている。私は東京スリバチ学会の会員だが、高低差であったり、団地であったり、マンホールであったり、暗渠であったり、古道であったり、参加者の関心の赴く先の広さにいつも驚かされる。そして私も、自分なりの興味関心を持って一緒に歩く。
「ふたり街あるき」の主人公のペア(まだカップルではないので)のひとりは、東京に出てきて大学生になり、普通に学生生活にはなじめているものの、何か物足りなさを感じている女の子だ。それが、街中をキョロキョロしながら歩いている男性と出会ったことで、「街には面白さが隠れている」ということに気づかされる。
その瞬間の「ハッ」となるところはぜひ、コミックを読んでいただきたいところだが、まさに世界が開けた、という感じをよく表現していると思う。人生は大会で優勝しなくたって、何か世界がぐわっと広がってくる瞬間が何度かあるのだ。それは、いつも何の気なしに歩いている、あなたのすぐそばにあるのかもしれない。
お試しとしてはアプリ「カドコミ」で数話無料ですぐ読める。興味があれば試読してみていただきたい。

